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抱え上げない介護「ノーリフティングケア」

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「介護の仕事は体力勝負で、腰痛はつきもの」——そんなイメージから、介護職への一歩をためらっている人は少なくありません。ですが今の介護現場では、人の力で無理に抱え上げないやり方が広がっています。ここでは、国の指針が示す考え方と、腰を守れる職場の条件、未経験でも使える福祉用具をまとめました。

「人を抱え上げる介護」は過去のものになりつつある

介護職と聞くと、利用者の方を力いっぱい抱え上げる姿を思い浮かべる方も多いかもしれません。ですが現在の現場では、リフトやシートなどの福祉用具を使い、人の力だけに頼らずに介助するスタイルが主流になりつつあります。

国の指針が「原則、人力では抱え上げない」と示している

厚生労働省が2013年6月に改訂した「職場における腰痛予防対策指針」は、介護・看護作業について、全介助が必要な方にはリフト等を積極的に使い、「原則として人力による人の抱上げは行わせないこと」と定めています。あわせて、ベッドの高さ調節やスライディングシートの活用で、前かがみやひねりの姿勢をとらせないことも求めています。スタッフの身体を守ることは、個人の心がけではなく、事業者が取り組むべき対策として位置づけられているということです。

ノーリフティングケアという考え方

こうした流れの土台にあるのが「ノーリフティングケア(持ち上げない介護)」です。1998年にオーストラリアの看護連盟が取り組みを始めたのが発祥とされ、日本でも広がっています。「押さない・引かない・持ち上げない・運ばない」を基本に福祉用具を活用し、介護する側の腰痛を防ぐだけでなく、介護される側の床ずれや関節のこわばりを防ぐことにもつながります。

腰痛は「慣れれば平気」になるものではない

現場では「コツを掴めば腰は痛くならないよ」という言葉を耳にすることがあります。たしかに身体の使い方を工夫すれば、負担を減らすことはできます。

ただ、腰にかかった負担は「慣れ」で消えるわけではありません。無理な姿勢での介助を毎日くり返せば、少しずつ積み重なっていきます。長く働き続けるためには、最初から腰に負担をかけない方法と環境を選ぶことが大切です。

腰痛を防ぐ現場の3つの条件

スタッフの身体を守れている施設には、共通する条件があります。職場を見学するときは、次の3つに注目してみてください。

1「抱え上げない」が個人の工夫ではなくルールになっている

一部のスタッフだけが用具を使っていても、忙しい時間帯には「手でやったほうが早い」という空気に流されがちです。「ここでは人の力だけで移乗しない」と施設全体のルールとして決まっているかどうかが、分かれ目になります。

2用具が「取りに行かなくていい場所」にある

便利な福祉用具があっても、遠くの倉庫にしまってあれば使われなくなってしまいます。居室やベッドサイドなど、使いたいときにすぐ手が届く場所に置いてあるかどうかが、用具が定着するポイントです。

3一人で抱え込まない体制と、声のかけやすさ

不安なときや、いつもと違う対応が必要なときに「手伝ってください」と気軽に声をかけ合える。そんなチームワークが、結果としてスタッフの身体を守ります。未経験のうちは、遠慮せずに頼れる雰囲気があるかも確かめておきましょう。

未経験でも使える、移乗をラクにする福祉用具

ここでは、現場でよく使われている代表的な福祉用具を紹介します。どれも特別な筋力は必要なく、正しい使い方を覚えれば未経験の方でも安全に使えます。

スライディングシート|滑らせて動かす布

滑りやすい素材でできたシートです。ベッドの上で体の位置を直すときや寝返りを手伝うとき、利用者の方の体の下に敷くことで、少ない力でスムーズに体を動かせます。

スライディングボード|座ったまま渡す橋

ベッドから車いすへ移るときなどに、その間に橋のように渡して使う板です。利用者の方は座ったままボードの上を滑るように移れるため、立ち上がる・持ち上げるといった動作を省けます。

移乗用ベルト(介助ベルト)|つかむ場所をつくる

利用者の方の腰などに巻いて使います。介助する人がしっかり握れる持ち手があるので力が伝わりやすく、お互いの体を密着させすぎずに安定した姿勢で支えられます。

スタンディングリフト(立ち上がり支援機器)|立位をつくる

足に少し力は入るものの、自分で立ち上がるのが難しい方のための機器です。胸や膝などをパッドで支え、自然な立ち上がりの動きを機械がサポートします。

床走行式リフト・天井走行式リフト|全介助の場面を機械に任せる

専用の吊り具(スリング)を使い、機械の力で利用者の方を持ち上げて移動します。入浴介助や、ご自身ではほとんど動けない方の移乗で活躍し、介助する人の腰への負担を大きく減らせます。

電動ベッド|そもそも前かがみにならない

ボタン一つで高さを変えられる電動ベッドは、もっとも基本的な腰痛対策です。おむつ交換などのケアをするとき、介助する人が前かがみにならない高さに合わせることで、腰を痛める原因になる姿勢を防げます。

体力の不安は、道具と働き方の両面から小さくできる

ここまで見てきたように、今の介護は個人の体力や根性に頼るものではなくなっています。便利な福祉用具という「道具」と、それを当たり前に使う「職場のルールや雰囲気」。この2つがそろうことで、体力面の不安はぐっと小さくなります。

「力がないから無理」で、あきらめないでください

「介護の仕事に興味はあるけれど、力に自信がない」と一歩を踏み出せずにいるなら、ノーリフティングケアに取り組んでいる施設を見学してみてください。適切な道具とチームの支えがあれば、小柄な方や体力に自信がない方でも、長く活躍できるのが今の介護の現場です。無資格・未経験からでも、入職後の研修や資格取得支援がある施設なら、用具の使い方も基礎から身につけられます。

大阪で未経験から介護職を目指すなら、まずは腰痛対策と教育体制の両方が整った施設を見比べるところから始めてみてください。

情報参照元

まとめ

国の腰痛予防対策指針は、介護の現場で「原則として人力による人の抱上げは行わせない」と定めています。腰への負担は慣れで消えるものではないからこそ、「抱え上げないルール」「すぐ手が届く用具」「声をかけ合えるチーム」の3つがそろう職場を選ぶことが大切です。道具と働き方の両面が整っていれば、力に自信がなくても介護の仕事は長く続けられます。

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